書籍の全体像

将来、妊娠で困らないための24の事実

生殖医療専門医が、最低限これだけは知っておいてほしいと考える医学的事実を24項目に絞ったものです。目次を隠さず全て公開しています。ここにある知識は生理学と疫学に基づくため、制度や価格と違って年月が経っても変わりません。

この知識は、あなた自身のためだけのものではありません

本書が想定する読者には、当事者だけでなく「中高生・大学生のお子さんがいるご両親」「教育や医療に従事している人」「健康経営に関心がある人」が含まれています。事実23と事実24が扱うのは、当事者ではなく周囲の人の理解の問題です。誰か一人が正しく知っていることで、救われる人がいます。

第1章 将来を選択するための知識

妊娠には2つのタイムリミット(卵子の質と数)があり、それがライフプランの前提になります。

  1. 01

    10人に1人は「不妊症」になる

    1年間避妊せずに妊娠しない状態を不妊症と呼びます。その状態のまま自然に任せても、妊娠率は回復しません。

  2. 02

    卵子の質は30代から低下する

    1つ目のタイムリミット。33歳以降で妊娠率は徐々に下がり、36歳を超えると低下幅が大きくなります。

  3. 03

    100人に1人は30代のうちに子どもを授かるのが困難になる

    早発卵巣不全は40歳未満の100人に1人、30歳未満の1000人に1人。平均初婚年齢の直後に起こりうることです。

  4. 04

    卵子の数は音もなく減っていく

    2つ目のタイムリミット。自覚症状がないままAMHは下がります。数は年齢と相関せず、個人差が極めて大きいのが要点です。

  5. 05

    時間は限られている

    キャリア形成期(20〜35歳)と妊娠適齢期が重なります。適齢期は人によって違うため、まず自分の状態を知る必要があります。

第2章 自分の体と未来を守る知識

月経・性感染症・避妊。無症状のまま進み、将来の妊娠する力を削る問題を早期に捕まえます。

  1. 06

    自分の月経について深く理解することが第一歩

    周期・痛み・量の変化は最も早く手に入るサインです。周期が短くなる、伸びるという変化には意味があります。

  2. 07

    無排卵が続くと子宮体がんのリスクが増加する

    排卵がないと子宮内膜がリセットされず増殖し続けます。月経不順の放置には、妊娠以外のリスクもあります。

  3. 08

    ひどい月経痛=子宮内膜症と考えておく

    痛みは他人と比べられません。子宮内膜症は年単位で悪化し不妊の原因になりますが、有効な治療があります。

  4. 09

    性病に感染していても気づかない

    クラミジアは20代前半の10〜20人に1人。無症状のまま卵管を閉塞させます。検査は簡単で治療も容易です。

  5. 10

    HPVが子宮頸がんを引き起こす

    生涯で50〜80%が感染し、90%は2年以内に自然治癒します。ワクチンと1〜2年ごとの検診でほぼ防げます。

  6. 11

    望まない妊娠率は高い

    避妊のない性交では1ヶ月21%、6ヶ月73%が妊娠します。20代は人生で最も妊娠しやすい時期です。

  7. 12

    低用量ピルは避妊、月経痛、月経不順にも有効

    避妊だけの薬ではありません。周期を整え、月経困難症の悪化を防ぐことは、将来の妊活の準備でもあります。

第3章 妊娠するための知識

妊娠しやすい時期の正しい捉え方と、自然に任せてよい期間の見極め方です。

  1. 13

    排卵した卵子は24時間以内に妊娠する力を失う

    精子は約1週間生存します。つまり最も妊娠しやすいのは排卵2日前から当日までです。

  2. 14

    月経が順調であれば、排卵日が正確に予測できる

    排卵の約2週間後に月経が来ます。次の月経予定日から逆算すれば、自分で排卵日を予測できます。

  3. 15

    基礎体温は妊娠しやすい日の予測には役に立たない

    体温が上がった時点で排卵は終わっています。基礎体温は「排卵があったか」の事後確認の道具です。

  4. 16

    月経不順の人は、排卵日をアプリで予測できない

    アプリは過去の周期から計算しているだけです。周期が不安定なら原理的に当たりません。通院が近道です。

  5. 17

    妊活開始直後は妊娠しやすい

    3ヶ月で50%、6ヶ月で80%。ただし6→12ヶ月では10ポイントしか増えません。6ヶ月が方針転換の分岐点です。

  6. 18

    早期に不妊予防の検査を行うことで選択肢が広がる

    妊娠しづらい状態が事前に分かれば、治してから始められます。時間を失わないことが最大の利益です。

第4章 不妊治療のための知識

治療の全体像と、通院という日常への影響。始める前に知っておくと消耗が減ります。

  1. 19

    不妊治療は3種類ある

    自分の排卵を使う治療(タイミング療法・人工授精)と、排卵させない治療(体外受精)に分かれます。

  2. 20

    検査は全て問題なし。でも、妊娠しない

    検査で分かるのは卵管と精子まで。受精・胚発育・着床は体の中で起きるため確認できません。

  3. 21

    採卵した年齢の妊娠率が将来的に保たれる

    凍結した卵子・受精卵は加齢の影響を受けません。第2子・第3子の治療にも使えます。

  4. 22

    不妊治療とはスケジュール管理である

    通院は月経周期に従属します。採卵周期は2週間で3〜5回、日程は数日前まで確定しません。

  5. 23

    通院の負担は誰にも分からない

    「話しても伝わらないから話さない→会社は困っている人がいないと認識する」というループが職場にあります。

  6. 24

    ジェンダーロールという先入観が存在する

    妊娠・出産・授乳は女性にしかできませんが、家事と育児はどちらでもできます。その線引きが負担を決めます。

付録

  • 付録1 早発卵巣不全
  • 付録2 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
  • 付録3 ブライダルチェックの解釈

24項目を図解つきで、順序立てて読む

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